足立(1)
概要
関連文献
姓氏家系大辞典
1武藏の足立氏武藏國造の裔にして將門記に足立郡司判官代武蔵武芝と見ゆる者の後なり。平治物語源氏勢汰の條に、武藏國には足立右馬允遠元、又待賢門の戰、義平に從ふ十七騎中に足立右馬尤を載せ、又「足立四郞遠基が右馬允になる」事を記し、續いて東鑑治承四年十月二日條に、「武衞(頼朝)、大井隅田兩河を濟リ精兵三萬餘騎に及び武議國に赴く、豊鳥權守〓元、葛西三郞〓電等〓前參上、又足立右馬尤遠元、兼て命を受くるに依て御迎となりて參向す」と見えたり。此等によりて足上四郞遠基は又右馬尤遠元と云ひ、武藏の人なる事明白なりとす。卽ち足立郡司武芝の裔·依然として勢力を繼承し、源平時代の右馬尤遠元に至リしや想像するに難からず。しかるに尊卑分脈には、藤原北家·魚名三世孫山蔭九世·小野田三郞兼廣- -安達六郞盛長-秋田城介景盛-安達藤九郞遠兼-遠基-安達八郞左衞門基春と載せたり。遠基は遠元と同人なるや勿論なれば、足立安達同族にして一見陸奥の安達郡より起りし氏なるが如く考へらる。されど遠基(遠元)は平治物語、東鑑、共に足立と載せ、明白に武藏の國人たり、然らば分脈の安達氏と云ふは其の實足立氏にして、景盛遠元共に武藏國人か、或は遠元流のみ武藏の足立氏にして景盛は奧州の安達氏なれど、足立安達相通ずるに依りて此の誤を致すか。孰れより云ふも、足立遠元を藤原氏とし、山蔭後裔など云ふは假目に過ぎずと考へらる。猶は東鑑は安達と足立と區別するが如き安達新三郞〓恒を平治物語等に足立に作るを思へば、早く混用せしものにして、此の安達氏も其の實足立氏に外ならずと考へらる。卽ち此等安達氏を陸奥安達郡より發祥すとするが如きは後世の事に過ぎず、又藤姓とするも假胃に過ぎずと考へらる。猶ほ足立氏に關して丹波志並に足立家講等が、「藤原氏にして遠元が父遠兼·武藏足立郡の領主職にて、其の子遠元が時地讀職となり、郡中一圓を所紀伊國牟婁郡田邊庄村上源氏領す」と云ふ如きも後世の作なれば、足立氏を藤姓とする史料となすべきにあらず。勿論足立氏は足立郡司の後なれば郡中を一圓に所領すなど云ふも適當ならずとせず。但し角井系圖に「武芝の女子、社務相承、武藏分菅原正好の妻、其の子菅原朝臣正範·外祖父の跡を繼ぎ氷川社務司となる、之の子行範·足立郡司」とある如く、菅氏或は藤氏と血緣的關係を結び、終に其の系を冐すに至りし事、もとより無きを保し難し。足立氏の人は平治物語に足立四郞遠基(右馬允違元)の外、足立新三郞〓恒、平家物語に足立新三郞と云ふ雜色あり、又源平盛衰記にも同人を載す。次に東盤五、六、八、九、十二、十三、十四に足立右馬尤達元、十九、廿一、廿二、廿三、廿四に足立八郞元春、廿一に足立九郞、廿七に足立三郞、卅一、卅二に足立木工助遠親、丗六、卅七、四十、四十三、四十六に足立太郞左衞門尉直光、卅八に足立右衞門尉、卅九、四十二、四十六に足立三郞左衞門尉、四十に足立左衞門尉、四十一、四十二、四十四、四十七、五十に足立太郞左衞門尉直光、四十一、四十四、四十五に足立左衞門三郞元氏、四十二に足立三郞衞門尉光氏、四十四、五十に足立三郞衞門尉、次に承久記一にあだちさゑもんもとはる、卷二に足立の三郞卷三に足立の源二さゑもん、卷四にあだち平内等を載せたり。猶ほ翁草に鎌倉時代の武士所領として一萬町相州の内、足立與市安房あれど徵證なし。違光家紋四つ花菱と傳ふ。此の足立氏の事につき武藏風土記は、足立郡條に於いて、「桶川宿屋數跡、足立右馬尤が居住の蹟のよし今は林となれり。其内に石の祠を立てども文字なければ其來由を知りがたし。昔屋敷跡とおぼしき所より武器陶器など堀出せしこともありしと云。この右馬尤名を遠元と云、丹波志を按ずるに父は大織冠鐵足十五代の孫遠兼とて當郡の領主職たりしが、遠元の時に至りて地頭職となリ.足立を氏とし、武勇を以て右大將賴朝日、同賴家二代の師範たりしよし見ゆ。東鑑治承四年十月二日の條に武衞兵を引て當國に到られし時、遠元兼て命を受て出迎として參向せしと云、建久元年十二月左衞門尉に任ぜり。保曆間記に正治元年正月十三日頼朝薨じ、賴家代て立しよリ、諸の訴訟羽林直にての決斷を止め、大小皆北條父子を初め遠元等の決斷となりしと。されど卒年等はのせず。又丹波志に遠元の子遠光と云、其子遠政又左衝門尉といへり、此頃所領を替られ丹波國氷上郡佐治郷を賜ひ、山垣村に移り子孫今彼の地に残れりと云。按に東鑑に遠光といへる人見えず。彼書にのする所は足立八郞元春後左衞門尉に任ず、是遠元が子にや。此餘足立十郞太郞親成、太郞左衛門直元或は直光ともしるす。左衞門三郞元氏、左衞門五郞遠時、足立太郞、同三日同五郞、同九郎など云も見ゆ、足立木工助遠親といひし人を載す。是も遠元の一屬なるべし。讃岐國本山庄の地頭職なりと云。是等の人の孫の住せし所なるべし」と。
系図綜覧(記事名の出現頁・OCR照合)
- 『系図綜覧』(国書刊行会編、1915、国立国会図書館デジタルコレクション)第二:54頁
- 『系図綜覧』(国書刊行会編、1915、国立国会図書館デジタルコレクション)第2:52頁
- 『系図綜覧』(国書刊行会編、1915、国立国会図書館デジタルコレクション):286頁
華族類別譜(記事名の出現頁・OCR照合)
- 『華族類別譜』(柴山典編、1884、国立国会図書館デジタルコレクション)附録 巻之1:169頁
- 『華族類別譜』(柴山典編、1884、国立国会図書館デジタルコレクション)附録 巻之2:27頁
- 『華族類別譜』(柴山典編、1884、国立国会図書館デジタルコレクション)上巻皇別:180頁
新撰姓氏録考証(記事名の出現頁・OCR照合)
- 『新撰姓氏録考証』(栗田寛著、1900、国立国会図書館デジタルコレクション)上(巻1-10):63頁
- 『新撰姓氏録考証』(栗田寛著、1900、国立国会図書館デジタルコレクション)巻之2:3頁
- 『新撰姓氏録考証』(栗田寛著、1900、国立国会図書館デジタルコレクション)巻之9:30頁
- 『新撰姓氏録考証』(栗田寛著、1900、国立国会図書館デジタルコレクション)巻之1-10:63頁